2014年3月21日金曜日
【二五五文字書評】イキルキス (講談社文庫) /舞城王太郎
文庫には二編も書き下ろしが収められているものだから、単行本で読んでいるにも関わらずつい購入してしまい、「ぐぬぬ、商売上手め」と一時は悔しさに身悶えしたものの、考えてみれば久しぶりに舞城の新作を読む事ができた訳だし、そのうえ二編とも秀作だったものだから、結果としては「ありがとう舞城! ありがとう講談社!」という事になってしまい、巧くやり込められた気がしないでもない。書き下ろしでは『無駄口を数える』が秀逸で、スタッキング可能な人達との接し方や、理不尽との折り合いのつけ方など、舞城の思考はやはり好きだと再認識
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