【ネタバレ注意!】
最終章の後半まで読み進んだあなたは、「短編ホラー三本ならべただけ?」とつぶやきため息をつく。”舞城史上最強長編”との煽りに期待した分、落胆も大きいのだろう。だけど光の道の再登場を目にした瞬間、ソファーに座り直し、今までの倍の早さでページをめくり始める。最後まで読み終えると、最初に戻ってまたページをめくり直す。要所を確認し物語の構造を理解したあなたは、この小説に対する評価を改める。「確かに舞城史上最強だわ」そうつぶやいたあなたに、わたしも同意する。きっとディスコと並ぶ名作だよ。洗練されてきたよね、舞城くん。
それとも過去も未来もなくて時間の経過は一冊の本みたいに書かれて全部一緒に存在して、何かが開いているページ、あるいはその何かが読んでいる文字、そういうのが今ってこともあるのかな?
(舞城王太郎『淵の王』より引用)
なんか『淵の王』の地の文を真似て感想書いてみたけど、難しいなコレ。二人称じゃないんだよね。主人公に寄り添う、背後霊的な存在が語り手なのです。
”光の道”という語をフックに、一気に物語の構造を理解しました。配された位置を考えれば、おそらく舞城くんの設計通りに「理解させられた」といったところなのでしょう。やられた感がハンパねぇ……。