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2015年6月25日木曜日

【二五五文字書評】屍者の帝国/伊藤計劃×円城塔


【ネタバレ注意!】
引き継いだのが、円城塔で良かったと思う。伊藤計劃が広げたスチームパンクに踊る、円城塔の筆が素晴らしい。伊藤氏お得意のオマージュを、さらに進めた借用につぐ借用。そして伊藤作品へのオマージュ。特にハーモニーのテーマを持ち込み、円城流の解答を示す辺りはさすが。でも、ザ・ワンが展開する円城節に、置いてけぼり食らう人は多そうだ。屍者フライデーに、円城氏を重ねて読むと味わい深い。伊藤計劃をインストールした意識なき記述者とするならば、エピローグで意識発現し独白する部分は、そのまま円城塔から伊藤計劃への熱きメッセージだ。

2015年6月21日日曜日

【二五五文字書評】ハーモニー/伊藤計劃


【ネタバレ注意!】
虐殺器官同様、主題が語られるたび、病床で執筆する著者の心情を思い息苦しくなる。病床に在って病気を克服した社会を描き、それを否とするテーゼを奏でているのだから。相変わらず、世界とSF的ガジェットの作り込みは素晴らしい。ストーリー的には、ミァハの心境の変化に理解が及ばなかった。終盤の展開も急だし。でも、主人公による完全調和阻止とならない終わり方は好き。意識喪失し幸福感に浸る多数派と、意識を持ち続ける少数派……世界はまだ、一つじゃないんですよね。この後の展開を考えるだけで、ご飯三杯くらいイケそうな終わり方です。

2015年6月18日木曜日

【二五五文字書評】虐殺器官/伊藤計劃


【ネタバレ注意!】
生と死。罪と赦し。どうしても病床で執筆する著者を重ねて読んでしまう。SF的ガジェットの作りこみが素晴らしく目を奪われるが、それでも繰り返し語られるテーマに著者の心情を思い息苦しくなる。ラストで主人公は、他の国々を救うため祖国アメリカを混沌に突き落とす。「ぼくはその決断を背負おうと思う」なんて言ってるけど、本当は夢に見る死者の国を産み落としただけだよね。そこは罪が罪として在る、安らぎに満ちた世界なのだから。彼は救われただろうか。赦しは失われてしまった。赦しなき救済は、不自由な自由と等価なのではないだろうか。

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