2018年5月30日水曜日

【二五五文字書評】影裏/沼田真佑


主人公が日浅に抱いているのは、やはり恋心なんですかね。とまぁ、初っ端からネタバレかましてますが、昔の恋人のエピソードを考え合わせると、そのような解釈に流れ着いてしまう。日浅が行方不明になった原因を、かの震災にもっていくのは好みではない。でも、私の好みはどうでもよく、間接的な被災、または被災者と関わりを持つ人々を描き出すのもまた小説の役割と捉えるのなら、静かな空気の中で巧く描かれている様に思う。心情描写など意図的に省かれているような部分もあり、描かない事で主題を浮かび上がらせる辺り、巧いなぁと唸ってしまう。

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