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2014年1月27日月曜日

【二五五文字書評】妖精たちの回廊/赤江瀑


美の世界に渦巻く情念を、描き出すのが赤江瀑の筆。藝の世界を描くことが多い様だが、今回は鯉の世界が描かれる。失われた一匹の鯉と、それを追う男の失踪。物語はミステリの文脈で運ばれるのだけれど、推理物としては寸足らずな印象。美に魅せられた人達へ切り込んでいく手法として、ミステリの文脈が使われているだけなのだろう。もちろんこの事が、本作の魅力を大きく減じている訳ではない。流麗な言葉で紡がれる鯉の世界と、その美にとり憑かれ翻弄される人達の哀しさと愚かしさ。この情念のもつれこそが、本作で味わうべき魅力なのだろうから。

2012年8月30日木曜日

【二五五文字書評】花夜叉殺し (光文社文庫) [文庫]/赤江瀑


赤江瀑は初読だったが、三島由紀夫と似ている印象を受けた。泉鏡花との相似を指摘する書評も見かけたが、未読なので妥当性の程は判らない。美の捉え方、情念の込め方、耽美な語り口が、特に三島の『金閣寺』を彷彿とさせる。赤江瀑の方が、さらに幻想的ではあるが。収録作の中では、『花夜叉殺し』と『罪食い』が良かった。他の作品も、負けず劣らず秀作ぞろい。京都を舞台とした事、主に芸能・芸術の世界を描いた事も、妖艶な雰囲気を醸す要因となっているのだろうか。兎に角、色気のある文章が、読んでいて心地よい。再び読んでみたいと思う作家。

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