舞城王太郎ファンってのは、わたしが思っている以上に多いようでして……
そんな舞城が「九十九十九」なんていうJDCトリビュート作品を書いているものですから、「どれ、元ネタのJDCシリーズとやら、一度読んでみるかな」などと思う人が出てくるのも無理からぬ事。かく言うわたしも、その中の一人だったりします。
西尾維新も「JDCトリビュート」を二作書いてるから、そっちから流れてくる方も多いようですね。
JDCシリーズは、既に四作品、ノベルスにして七冊、文庫にして十二冊が出ています。
ノベルスはもう「鈍器のようなもの」として使えそうなくらい分厚くて読みづらいですし、文庫化の際には加筆修正があった様ですから「文庫で読もう!」って事になるのですが……これがまた、一筋縄ではいきません。
ノベルスから文庫に分冊する際、「コズミック流」「コズミック水」などと、どちらが上巻だか下巻だか解らないタイトルが付けられています。シリーズ外に「コズミック・ゼロ」という似たタイトルの作品があり、ややこしい事この上ないです。
一作目、二作目は合計四冊に分冊されていますが、作者おすすめの二作シャッフルした順序ってのもあって、更に混迷を極めます。
わたしもJDCに興味を持って読んでみようと思った時、「一体どれから読めばいいんだよ!」「なんでこんなに下調べが必要なんだよ!」「初心者にやさしくないぞ!」と怒りを覚えたものでした。
きっと読む前から、挫折しそうな方も多いのではないかと思います。
同じ苦労をした身として、「この作品から読むと入りやすいよ」ってのをお教えし、なんとか一作だけでも読了していただき、「なんじゃこりゃぁ!」と同じ怒りを覚えた上で、共にちゃぶ台をひっくり返してくださる方が一人でも増えてくれれば……と願い、このエントリを書いている次第です。
「JDCシリーズ」ってなに?
ここで「JDCシリーズってなんやねん!」って方に、少々説明を……。JDCシリーズは、講談社から刊行されている清涼院流水の推理小説のシリーズ作品である。JDCは、Japan Detectives Club(日本探偵倶楽部)のことで、探偵たちの集団である。そのJDCの探偵たちが事件を解決していくことから、JDCシリーズと呼ばれる。(JDCシリーズ - Wikipediaより引用)……なんて説明されると「おぉ、ミステリなのか!」なんて早合点をしてしまいますが、騙されてはいけません。確かにミステリの形をとっているかのように見えますが、ミステリだと思って読むと最後にちゃぶ台ひっくり返したくなりますのでご注意を。
いや、舞城とか読んでる人ならば、意外と楽しめちゃうのかも……。
二作目の「ジョーカー」から読めばいいんじゃないかな
普通は刊行順に読もうと思いますよね。現在出ているJDCシリーズを刊行順に並べると以下の順番になります。- コズミック(文庫2巻)
- ジョーカー(文庫2巻)
- カーニバル(文庫5巻)
- 彩紋家事件(文庫3巻)
作者おすすめの順番というのがありまして、「清・涼」を「流・水」で挟みこんで「清涼in流水の順番で読んでくれ」などと洒落こんでいますが、解りにくい事この上ありません。
噛み砕けば、「流」→「清」→「涼」→「水」という順序で読めということで、つまり、まずはコズミックの前半読んで、ジョーカーを通読して、最後にコズミックの後半を読めと言う事になる訳です。
作者の趣向にとことん付き合うつもりであれば別にいいのですが、分厚い文庫を四冊も読む羽目になりますし、何よりもコズミックの前半は淡々と密室殺人が起こり続けるだけですので、この時点でもう飽きてしまう危険性が多分にあります。
お話的にはジョーカーの方が面白いので、こちらから手に取られることをオススメします。これならジョーカー読んで嫌気が差しても、被害は二冊で食い止められますし(笑)
作中の時系列的に「ジョーカー」→「コズミック」ですから、何も問題はありません。いやむしろ、時系列順に読まないと、理解が追いつかないと思われます。
「ジョーカー」を読んで、その結末に耐え切り本を床に叩きつけなかった人だけが、「コズミック」に進めばよろしいかと。コズミックを読むことで、ジョーカーで放り投げられていた謎にも解が与えられる……かもしれません。
あとはもう、刊行順でいいのでは?
コズミックとジョーカーを読了して、それでもまだ清涼院流水に愛想をつかしていないのでしたら、もうファンとお呼びしても差し支え無いですよね?あとはもう、カーニバルの圧倒的なページ数に翻弄されるなり、彩紋家事件のちびっ子十九に萌えるなり、どうぞご随意に……。
【おまけ】JDCトリビュート作品
■小説
■漫画
■ノベライズ
自作のトリビュート漫画のノベライズを自分でやるとか、僕には意味がわからないよ……。