文藝春秋が書店に平積みされていたので、ざっくりと芥川賞の選評を眺めてきた。我らが舞城王太郎
宮本輝
ノミネートされた『美味しいシャワーヘッド』(キミトピア
アンチ舞城の本丸は、安定の宮本輝
今回も宮本輝これまでの舞城さんの作品と比してシンプルになっているが、毒気も抜けてしまった。と、「まさか舞城に、エールを贈るのでは!?」と油断させておいて……
既作から一歩も前進していない。と、バッサリと切り込み、かえす刀で……
何を書きたいのか、何を書こうとしているのか、ご自分でもわからなくなっているのではないだろうか。と、とどめの一撃。
えーっと、そこまで言いますか?(汗) でも、いつもの宮本輝で、逆に安心しました……。
「丸くなっちゃったね」的な評が多かった印象
山田詠美この作者は、どうでも良さげなエピソードで、読み手の心をきゅっとつかむのが上手だなあ、といつも思う。そして、とってもモラリスト。主人公だけが使い方を知るおかしくって少し悲しい、魅力的なシャワーヘッドのカタログだ。
全体的には「今回の舞城、どうしちゃったの? なんか丸くなってない??」的な選評が多かったように感じます。代表として、島田雅彦
いつものどうでもよいことに拘泥した饒舌な屁理屈がやや影を潜め、物語的明快さが前面に出たことで、パワーが落ちてしまったのは惜しい。(中略)舞城には「丸くなる」ことを徹底的に拒んで欲しい、と注文を付けるのは読者の身勝手であろうか?確かに最近文芸誌に掲載される舞城作品は、確かに丸くなったような印象はありますよね。そこを“洗練”ととらないのは、芥川賞が純文学の新人賞という位置づけだからでしょうか。荒削りの方が好まれる傾向も、あるようには思います。
しかしまぁ、冒頭にも書きましたが、今回は受賞作の『abさんご
今回で四回目。デビュー十年を超える作家ですし、さすがにもう最後のノミネートでしょうか。
田中慎弥
蛇足
ところで今回も、村上龍なんだろ、文字数たらなかったのかな?(汗)
わたしから見ると、舞城作品は少なからず、村上龍の影響を受けています。そのあたりの意識して、あえて評を避けているのかなぁ……なんて、変な妄想をしてしまいますが。
だって過去四回のノミネートで、評らしい評を残したのは「ビッチマグネット」の時だけですよ。
まさか、評するに値しないと思われているとか!?(汗)