2013年1月14日月曜日

【二五五文字書評】冥土めぐり/鹿島田真希



かつての高級リゾートホテルへの旅を通じて、記憶の中の冥土をめぐる物語。過去の栄華に執着しする、俗人としての母と兄。そして対極に位置づけられた、聖なる愚者としての夫。解りやすい二極化で描き出すのは、受け入れる事で理不尽に順応する主人公と、受容する価値への気付き。しかし物語の根幹の「受容」の部分を、うまく咀嚼することができなかった。抗いきれない理不尽には、受容することで対処するしかないのだろうが、主人公があまりに受け身で息苦しく感じた。しかし、本人がそこに幸せを見いだせるのならば、それで良いのかもしれない。

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