2012年10月18日木曜日

【二五五文字書評】グロテスク〈上〉 (文春文庫)/桐野夏生


桐野夏生作品に、初挑戦。独白と書簡(手記)形式、そして美醜の狭間を漂い、人間の本質を掘り下げる筆力。そうですか、あなたが現在の夢野久作でしたか(違) グロテスクとは巧く名付けたもので、人間の嫌な部分が赤裸々に綴られている。実際の事件をベースに書かれた作品なので、もっとルポタージュか、エンターテイメント寄りの作風を想像していたけれど、純文学寄りの印象を受けた。優れた作品には、ジャンルの壁など存在しないという事か。一人称で語られる物語。聞き手が誰なのかを考えれば、今後の展開が少しは見えそう。下巻が楽しみです。

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