2012年9月9日日曜日

【二五五文字書評】新潮 2012年 01月号(やさしナリン/舞城王太郎)


舞城王太郎『やさしナリン』読了。舞城が家族愛を主題にとるとき、ディスコミュニケーションを通して描く事が多い。本作も例に漏れず、『やさしナリン』分泌過多な旦那と義妹が引き起こすトラブルと、主観の相違による意思疎通の機能不全を通し家族が描かれる。必死で伝えようとしている事が伝わらないのは、本当に辛いし疲れる。わたしも主人公のように、意思疎通を諦める事も多い。しかし主人公が相手を馬鹿と断じた上で「理解しておけ。私も馬鹿なのだ。」と自らを戒めた言葉は、わたしの胸にも留めておこうと思った。やはり“お互い様”なのだ。


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