2012年9月9日日曜日

【二五五文字書評】群像 2010年 08月号(ドナドナ不要論/舞城王太郎)


舞城王太郎『ドナドナ不要論』読了。いわゆる“難病物”だが、舞城が“大切な人が死んで悲しい”などという物語を紡ぐ訳もなく、そこに生じる理不尽との折り合いの付け方や、難航する意思疎通の解決が描かれる。「恥こそが日本人の強みだったのにね。それを一部でも失い始めるとゆっくりと確実に総崩れだよ。(作中より)」このような作中で披露される倫理観には共感を覚えるし、意思疎通の機能不全に関してはまるで自分の周辺の問題が描かれているような既視感を覚える。近作では虚構ぬきで描かれる事が多いので、以前よりストレートに響きます。


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