2012年8月8日水曜日

【二五五文字書評】綺譚集/津原泰水


美しくも悍ましい奇譚が十五編。掲載誌に合わせているのでしょうか、作品ごとに文体が違います。「よくぞここまで、書き分けができるものだ」と感心することしきり。実は途中で投げ出しそうになったのですが、それでも読了したのは文体の妙のおかげかもしれません。美醜の狭間を漂うような作品ばかりですが、その中であえて一番を選べと言われれば、やはり『黄昏抜歯』でしょうか。確か川上未映子氏の作品と、盗作問題で話題になった作品ですよね。でも、『玄い森の底から』も捨てがたいです。改めて振り返ってみると、意外と好きな作品が多いかも。

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