2012年7月30日月曜日

【二五五文字書評】11 eleven/津原泰水


十一遍の奇譚が収められた短篇集。中でも、「五色の舟」を興味深く読みました。今時、見世物小屋を題材に書く人が居ようとは。SF的な味付けで、救われたような、救われなかったような、不思議な余韻を残して終わります。これだけの筆力があるのに、中には取って付けたようなオチで終わる短編もあります。蛇足とも呼べるオチなら、いっそ無い方が余韻が残って良いのではないかと思うのですが、この辺りは好みの問題でしょうか。文体などは全く違うのですが、夢野久作を思わせる読後感がありました。本編とは関係ないですが、装丁が綺麗で好きです。

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