2012年8月30日木曜日
人気のエントリ
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良くも悪くも、清涼院流水らしい小説。溢れんばかりのTOEIC愛は伝わってくるし、あるあるネタも面白いのだけれど、いかんせんプロットも表現も独りよがりな印象しか受けることができない。しかしながら、この自己満足的な雰囲気こそが御大の持ち味だろうし、この雰囲気を楽しむことができて...
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文藝春秋九月号を、やっと読むことができた。第一四七回芥川賞発表が特集されている号だ。 この号には芥川賞受賞作が全文掲載されているのだが、実は受賞作の掲載には興味がなく、“芥川賞の選評”こそが目当てであったりするのだ。 ここで誤解なき様に言っておくのだが、受賞作の掲載に興味...
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舞城王太郎ファンってのは、わたしが思っている以上に多いようでして…… そんな舞城が「九十九十九」なんていうJDCトリビュート作品を書いているものですから、「どれ、元ネタのJDCシリーズとやら、一度読んでみるかな」などと思う人が出てくるのも無理からぬ事。かく言うわたし...
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もう20年前の作品になるのですね。一九九〇年台の遣る瀬ない空気感を、巧く写し取った傑作だと思う。十八人の主人公が順にすれ違い、主体が移り、物語が繋がっていく。実験的な手法だが、総体的な目標を失い個に分断された社会を、巧く描きだしている。さて、自分を自分足らしめているものは他...
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主人公が日浅に抱いているのは、やはり恋心なんですかね。とまぁ、初っ端からネタバレかましてますが、昔の恋人のエピソードを考え合わせると、そのような解釈に流れ着いてしまう。日浅が行方不明になった原因を、かの震災にもっていくのは好みではない。でも、私の好みはどうでもよく、間接的な...
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舞城王太郎「Would You Please Just Stop Making Sense ?」読了。スポンジシリーズ四作目。予言や暗示は他者からもたらされ、そこに意味を見出そうとしがちだけど、呪術的なチカラが働いていると思っていても実は偶然だったりするのだし、拘泥するのは...
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【ネタバレ注意!】 最終章の後半まで読み進んだあなたは、「短編ホラー三本ならべただけ?」とつぶやきため息をつく。”舞城史上最強長編”との煽りに期待した分、落胆も大きいのだろう。だけど光の道の再登場を目にした瞬間、ソファーに座り直し、今までの倍の早さでページをめくり始める。最後...
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舞城王太郎『Shit, My Brain Is Dead.』読了。「初期の舞城が帰ってきた!」と一部で噂のスポンジシリーズ。噂に違わぬ作風が、何だか懐かしい。虚構に満ちた物語を圧を高めた文章で味付けして、汚い言葉をまぶしてカラリと揚げた本作が指し示す主題とは……うーん解らん...
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舞城王太郎に松小説なんて書かせたらきっと主人公は「首だけが六つで、肩から下の全てを共有する六つ子」として描かれるだろうし、何それ怖いなんて怯えながら『九十九十九松』を読んでみたんだけど全くそんな事はなくて、松要素を絡めつつ見立て殺人で殺される六人のメタ探偵九十九十九を描いて...
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幼少期、山深い田舎で祖母と多くの時間を過ごした俺は、大きな共感をもって読み進めた。祖母は英国人ではなかったし、魔女の手ほどきもしてくれなかったけれど、本作と同様に大切なことをたくさん教えてくれた。作中の自然の描写も素敵だし、西の魔女の言動も素敵だ。まいが生きるチカラを身につ...