2012年8月30日木曜日

【二五五文字書評】花夜叉殺し (光文社文庫) [文庫]/赤江瀑


赤江瀑は初読だったが、三島由紀夫と似ている印象を受けた。泉鏡花との相似を指摘する書評も見かけたが、未読なので妥当性の程は判らない。美の捉え方、情念の込め方、耽美な語り口が、特に三島の『金閣寺』を彷彿とさせる。赤江瀑の方が、さらに幻想的ではあるが。収録作の中では、『花夜叉殺し』と『罪食い』が良かった。他の作品も、負けず劣らず秀作ぞろい。京都を舞台とした事、主に芸能・芸術の世界を描いた事も、妖艶な雰囲気を醸す要因となっているのだろうか。兎に角、色気のある文章が、読んでいて心地よい。再び読んでみたいと思う作家。

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