2012年9月28日金曜日

【二五五文字書評】ハリガネムシ (文春文庫)/吉村萬壱


芥川賞受賞作。ネットで「花村萬月と見分けがつかん」的な書き込みを見かけた。『クチュクチュバーン』しか読んでいなかったので「名前が似てるだけやん」と思っていたのだが、本作を読んでわたしも「見分けがつかん」との感想を持った。作風も似てました。人間の“恥”の部分というか“垢”というか“澱”というか……直視したくない部分を、性と暴力で赤裸々に描き出そうとしているのは解るのだが、どうしても花村萬月と比べてしまうし、やはり花村萬月の方がシャープで深くえぐっている印象がある。『クチュクチュバーン』の路線の方が好きかも。

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