2012年6月19日火曜日

【二五五文字書評】古都 (新潮文庫)/川端康成


近代の作家では、日本の美を感じる「川端康成」や「三島由紀夫」が好き。美の表現に注目するのであれば、より儚さを帯びた川端の方が好きだったりしますが。川端作品の中でも特に、日本の美しさを感じさせてくれるのが本作ではないでしょうか。歳時記の様に描かれる、京の四季と風俗。そして生き別れた美しい双子の姉妹……女性の美を書いても、神業的というか偏執的というか。淡々とした話運びで日常を描き出すが故に、込められた情緒を掬い上げることが難しいと感じました。逆にそんな部分も、奥ゆかしさの表現に繋がっているのかもしれませんね。

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