2012年5月7日月曜日

【二五五文字書評】SPEEDBOY! (講談社BOX)/舞城王太郎


限界というのは自らが嵌めた枷で、他者との関わりの中から生じる。限界を捨てる事で超絶的スピードを手に入れるが、それは他者との関わりを捨てる事と同義だ。孤独に依るスピードは厨二病的万能感のメタファとして捉える事ができるし、本当に必要な他者との関わりを得てアイデンティティを確立していく辺りが主題であろう。自己同一性を担保するものもまた、他者との関わりの中にしかないのだから。七つのパラレルな短編をもって、主題を浮き彫りにしていく手法はさすが。舞城はやっぱり、こういう一見すると訳わからん系のフィクションが好きだな。


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