2012年5月10日木曜日

【二五五文字書評】獣の樹 (講談社ノベルス)/舞城王太郎


古巣(講談社ノベルズ)に戻った舞城先生、大はしゃぎの巻(笑) 成雄サーガを踏襲するかと思いきや、中盤以降は舞城節炸裂。荒唐無稽な物語は覚悟してたけど、ブッ飛び規模が西暁こえて世界まで広がろうとは……良いわぁ。主題となるのは、アイデンティティの所在。同主題の「山ん中の~」「SPEED~」を読んだ後では、ミステリ要素や見立てが主題を薄めている感があり残念。そもそも、氏のミステリに対するスタンスが未だ掴めない。意図的にバカミステリやってるのは解るが、煙や水曜日ならともかく文学的な主題とは相性が悪いように感じる。

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