2012年3月18日日曜日

【二五五文字書評】少女地獄 (角川文庫)/夢野久作


表題作は、三編の短編からなるオムニバス。他三編の収録あり。タイトルから耽美的なイメージを勝手に膨らませていたけど、普通に夢野久作でした。(だが、それが良い)少女達によって繰り広げられる地獄絵図ではなくて、女性の内面の地獄を描いた作品といった感じでしょうか。独白体形式と書簡体形式の語り口が、昭和初期という時代背景とあいまって、独特の雰囲気を醸し出します。表題作の中では「火星の女」が一番好きだけど、やるせないなぁ……この話。表題作以外では、「けむりを吐かぬ煙突」が好きかも。どの短編も、読後感が幻想的ですなぁ。

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