2012年2月15日水曜日

【二五五文字書評】草の上の朝食 (中公文庫)/保坂和志


プレーンソングと同じく大きな事件は起きず、ただ日常が綴られていく。作中の「恋愛より豊かなものがいっぱいある」というセリフには大いに同意。恋愛至上主義的な風潮は、ちょっと疲れる。他の部分でも、同意できる主張は多く、空気感も含めて好きな作品。保坂氏の芥川賞受賞の際、大江健三郎が「やはり小説らしい物語をつくる意欲が必要では?」的な評を出していた。従来の小説になれた俺的にも、物語があったほうが良いように思うし、でもそうしてしまうと保坂氏の小説ではなくなってしまうし……好きなんだけど評価が定まらない、不思議な小説。

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