2016年3月26日土曜日

【二五五文字書評】オールド・テロリスト/村上龍


これは良い村上龍。やはり村上龍は、実社会の延長線上にある物語が良い。本当に起こりそうな、リアルな虚構が良い。実社会を描いても、かけ離れた社会を描いても、語りたい事が先にきて、物語の質が落ちる気がする。老人達は浮世離れした印象だけど、主人公のダメっぷりはリアルで心に迫る。この主人公『希望の国のエクソダス』の関口だよね。こんなに落ちぶれていようとは。ラスト近くでもたついたけど、全体的に熱量の高い村上龍らしい作品だった。最近の作品を読んで「もう村上龍も変わっちゃったのかな」なんて思ったけど、そんな事はなかった!

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