2015年12月18日金曜日

【二五五文字書評】黒い看護婦―福岡四人組保険金連続殺人/森功


人はここまで、愚かな行動をとってしうものなのですね。主犯はさておき、共犯の三人はそれぞれが騙され搾取され、身内の殺人にまで手を貸し、それでも離れられずに居たのですから。ここまで人心を掌握することができる吉田様、恐ろしいです。杜撰な計画でいくつも事件を重ねながら、一人の自首まで明るみに出なかったのも吉田様の才覚の成せる業でしょうか。事件の表層をなぞるだけでは理解が叶わぬ主犯、共犯の胸の内を、丹念な取材で明らかにした筆者の仕事は素晴らしいですね。構成的に読みにくい部分もありましたが、非常に興味深く読みました。


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