2015年6月8日月曜日

【二五五文字書評】博士の愛した数式 (新潮文庫)/小川洋子


理数系出身の俺としては、数学的な美しさを文学で表現したことに驚きを隠せない。やろうと思えば、できる事であったか。八十分しか記憶がもたないということは、常に自らの病気に絶望し、常に新しい人間関係に緊張を覚え、事故の当時から前に進むことなく八十分の円の上を周り続けているという事。それでも少しづつ博士との関係に変化が生まれているように見えるのは、何らかの蓄積があったのだと信じたい。そうでなければ悲しすぎるよ……。博士が数学を語る時の表現が、あまりに詩的。俺もこんな風に、数学を学びたかった。(←数学嫌いの理数系)

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